納品して終わり、じゃない──東京の現場を見に行ってきました

納品して終わり、じゃない──東京の現場を見に行ってきました

2025年4月9日

東京でのイベント現場を見学してきました

先日、弊社でクリエイティブを担当させていただいたイベントの現場を見に、東京まで足を運びました。

今回の案件は、イベント全体の運営ではなく、ビジュアル関連の制作物──看板やポスター、サイン、グッズなどのクリエイティブ部分のみを担当させていただいたものです。

基本的に業務はすべてリモートで完結しており、制作・納品も問題なく進行しましたが、「実際に現場でどう使われているか」を確認したいという思いから、現場へ伺いました。

 

リモートで完結できるけれど、“現場に行く理由”がある

弊社では、日常的に東京や全国のクライアントとリモートでやり取りをしています。

制作フローもクラウドベースで整備されており、対面でなくても何ら支障なく、効率よく、かつコストを抑えて業務を進めることが可能です。

それでもなお、イベント案件に関しては「現場で実物を見る」ことが極めて大事だと感じています。

納品したサインが実際の空間でどう見えるか、動線に対して視認性はどうか、掲示位置は適切だったか──これは画面上だけでは判断できない“空気感”があるからです。

 

“納品して終わり”ではない、伴走型のデザイン会社でありたい

制作会社の中には、納品が済んだら役割終了というスタンスのデザイン会社もあるかもしれません。

しかし弊社は、納品後に「実際どうだったか?」を自ら確かめに行くようにしています。

現場視察やクライアントへのご挨拶にかかる交通費や滞在費は、原則として弊社が自費で負担しています。

これは単なるマナーや気持ちの問題ではなく、次の改善につなげるための大切な投資だと考えているからです。

 

実際に現場に行って見えたこと

今回の現場では、来場者の導線に対してどこにサインを設置すべきか、ポスターの掲示場所は視認性が良かったか、グッズの売り場でどのようにクリエイティブが生かされていたかなど、現場でなければ気づけなかった点が多々ありました。

同行した弊社の担当デザイナーも、「画面上では想像できなかった課題や工夫に気づけて勉強になった」と話していました。

このような経験の積み重ねが、次の案件に向けての改善提案や、説得力ある提案書の裏付けになっていくのだと感じています。

 

「安い・早い」ではない、責任ある制作パートナーであるために

私たちは、オンラインだけで完結する「安くて早い制作会社」ではありません。

ご依頼いただいたからには、最後まで責任を持ち、納品物がきちんと機能していたかを確かめたい。

そして、クライアントのブランドがその場でどう見られていたのか、来場者の反応はどうだったかを感じ取り、より良いご提案に繋げていく。

そういった一つひとつの積み重ねが、信頼されるパートナーとしての土台になると信じています。

これからも“届けて終わり”ではなく、“届けた先”まで見届ける会社でありたいと思います。

 

株式会社HET
長谷川 嵩


リアルイベントに、やっぱり私は心を動かされる──インターペッツに行ってきました

リアルイベントに、やっぱり私は心を動かされる

2025年4月6日

展示会に行ってきました

先日、東京ビッグサイトで開催された「インターペッツ」に足を運んできました。

弊社では、看板犬・看板猫として私のInstagramにたびたび登場するメンバーがいます。社内でも動物との暮らしを大切にしており、私自身もペット関連の市場には日頃から関心を持っています。

広告事業とは別軸で、いつかペット関連の事業にも関わっていきたいという思いがあり、今回は情報収集と学びを兼ねて来場しました。

展示会を“来場者目線”で見て、感じたこと

久しぶりに一来場者として展示会を巡りましたが、改めて「やっぱり展示会って面白い」と感じました。

特に印象的だったのは、偶然の出会いの多さです。事前情報だけでは知り得なかった商材、独自の視点で作られたサービス、そして空間そのものから伝わってくる熱意。

オンラインでは得られない“空気感”を吸い込める場所として、リアルイベントの価値を強く実感しました。

そして職業病なのか、会場設計やブース導線、スタッフの配置や搬入経路などもつい目が行ってしまいます。来場者でありながら、運営目線で頭の中はフル回転でした。

原点は展示会プロモーションにあった

私が広告業界に入ったばかりの頃、最初に手がけていたのが展示会や企業イベントのプロデュースでした。

幕張メッセ、東京ビッグサイト、パシフィコ横浜…。いわば「庭」と言ってもいいほど、現場で汗をかいてきました。

想定外のトラブルにも何度も遭遇しましたが、あの時期に“現場力”という武器を身につけられたことは、今でも自分の強みだと思っています。

当時の経験が、現在の私の思考や動き方、そして経営にも直結しています。

 

デジタルとリアル、そのはざまで

コロナ禍以降、展示会もオンライン化が進みました。コストパフォーマンスや効率、移動コストなどを考えれば合理的な選択だと思います。

しかし、リアルイベントにはリアルにしかない魅力があります。偶然の発見、人の熱量、空気の重み。

私自身、日頃はデジタルコンテンツやオンライン広告の世界にどっぷり浸かっていますが、それでもリアルイベントに触れるたびに心が動くのを感じます。

この自己矛盾とも言える感覚こそが、今の時代を象徴しているようにも思えます。

 

クライアントへ還元するために

展示会で感じたこと、得た知識や感覚は、これからの企画や提案の中に落とし込んでいきたいと考えています。

広告やクリエイティブに携わる以上、どれだけアンテナを高く張り、現場で感じた“気づき”を形にできるかが問われると思っています。

私を育ててくれた展示会の現場と、今も信頼してお仕事を任せてくださるクライアントの皆さまに、しっかり恩返しができるように。

これからもリアルとデジタルのはざまを歩きながら、学び続け、提案し続けていきたいと思います。

 

株式会社HET
長谷川 嵩


企業映像は“作って終わり”じゃない──従業員リスクと情報管理から考える制作の在り方

企業映像は“作って終わり”じゃない──従業員リスクと情報管理から考える制作の在り方

2025年3月25日

期初総会のアタックムービーを制作しました

先日、ある上場企業様の期初総会に向けたオープニング映像、いわゆる“アタックムービー”を制作させていただきました。

全社を挙げて新しい期のスタートを迎える大切なイベントに、弊社をパートナーとしてお選びいただけたことに心より感謝しています。

本件においては、制作に入る前からクライアントと秘密保持契約(NDA)および業務委託契約をしっかりと締結し、情報の取り扱い・業務の範囲・成果物の管理体制を明確化したうえで進行いたしました。

特に今回は、社内の多くの従業員様のお写真を活用する構成だったため、情報セキュリティと肖像権の取り扱いには通常以上の慎重さが求められました。

 

映像に従業員の写真を使うというリスク

従業員の顔が映るということは、その人の“個人情報”が記録・配信・二次利用されるということに他なりません。

例えば、制作後まもなく当該従業員が退職した場合、会社案内映像や採用向け動画に継続して登場させることが難しくなる場合もあります。

実際に「退職者が映っている映像を修正したい」「差し替えたいが素材がない」という相談を、これまでに多くいただいてきました。

制作物の更新が単なる“デザイン変更”では済まされず、会社の信用や採用活動にも影響するリスクとなり得るのです。

 

契約と説明でリスクは回避できる

弊社では、従業員の映像使用に関するリスクを最小限に抑えるため、社内向けの“肖像利用同意書”フォーマットを提供しています。

さらに、広報部門や人事部の方と連携しながら、社内向け説明文や承諾取得の手順なども整備するお手伝いをしています。

「こういう説明をすれば納得してもらいやすい」といった、実務に基づくアドバイスも行いながら、スムーズな社内対応をサポートします。

 

社内説明会の実施で社内理解を促進

必要であれば、弊社ディレクターが従業員説明会に同席し、「なぜ出演が必要なのか」「どのように使われるのか」「どんな権利処理がされているか」といった説明を直接行うことも可能です。

社員の方に“安心して映像に登場してもらう”ことは、単なる形式ではなく、クオリティに直結する重要なステップです。

映像は“人の思い”が映るもの。だからこそ、出演する側の納得感を大切にしたいと私たちは考えています。

 

映像制作は、コンテンツ制作と法務・社内調整の複合業務

私たちは単に映像を「作る」だけの会社ではありません。

情報管理、社内調整、法的手続き、運用までを視野に入れた“包括的な制作支援”を強みとしています。

従業員の肖像利用、データの管理、承諾取得、将来的な差し替え可能性までを見据えて、映像というコンテンツの“持続性”を設計します。

 

おわりに

制作物のクオリティはもちろん重要ですが、それと同じくらい大切なのが“安心して使い続けられること”。

「誰が出ているのか」「どう扱われているのか」に配慮した上で完成する映像は、企業にとって本当に“使える”コンテンツになると私たちは信じています。

こうした丁寧な取り組みが、結果的にお客様の信頼につながり、長期的なお付き合いへと発展していくことを、日々の現場で実感しています。

映像制作に伴うリスクや課題にお悩みの方がいらっしゃれば、ぜひ一度、私たちにご相談ください。

“作って終わり”ではない、本質的なクリエイティブをお届けいたします。

 

株式会社HET
長谷川 嵩


ガチャガチャが止まらない──トイカプセル市場の今と、企画の裏側

ガチャガチャが止まらない──トイカプセル市場の今と、企画の裏側

2025年3月20日

はじめに

最近、クライアントとの打ち合わせのなかで「この製品、カプセルトイにしたら面白いんじゃない?」という話題が持ち上がりました。

半分冗談のようなやりとりでしたが、調べてみるとトイカプセル、いわゆる“ガチャガチャ”市場が今とても活況だということがわかってきました。今回はその市場動向や実際の事例、そしてカプセルトイの持つ広告としての可能性について、調査を踏まえてまとめてみたいと思います。

第4次ブームと言われる今のカプセルトイ市場

一般社団法人日本カプセルトイ協会(JACTA)の発表によれば、2024年度のカプセルトイ市場は、メーカー35社へのヒアリング調査に基づき、製造元出荷ベースでおよそ1,410億円に達したとのことです。

前年度(2023年度)の1,150億円と比べて122.6%の伸びを示しており、出店数も全国で700店舗以上。リリースされる新商品も2023年度は月500種類程度だったのが、2024年度は月700種類と、約1.4倍に増加しています。

SNSでの拡散性や、“推し活”文化と結びついたコレクション性の高い商品が受けており、カプセルトイはもはや「広告としての価値を持つプロダクト」として企業にも注目されています。

なぜ今、トイカプセルなのか?

ガチャガチャがここまで拡大している背景にはいくつか理由があります。

まず、出店のしやすさ。人件費や内装工事が不要なため、空港や駅、商業施設の空きスペースに設置しやすく、導入コストが比較的低いという利点があります。

また、インバウンド需要が回復する中で「日本らしいお土産」としての需要も高まりを見せており、企業プロモーションとしての価値も上昇しています。

こんな企業まで?話題の事例紹介

調査の中で特に面白いと感じたのが、ヤマザキマザックによる事例です。

2024年11月、ヤマザキマザックは自社の工作機械5機種を1/64スケールで精巧に再現した「工作機械ミニチュアコレクション」を全国のカプセルトイ専門店などで発売しました。

普段はあまり一般生活者の目に触れることのない“工作機械”をあえてミニチュア化し、その造形美や技術力をカプセルという形で伝えるという、極めてユニークな取り組みです。

製品の質感・ディテール・カラーリングまで精密に再現されており、知名度向上・教育用途・ファン層の拡大など、複数の狙いを兼ね備えたプロモーションとなっていました。

ロットは多い。でも使い方しだいで化ける

トイカプセルをOEMなどで制作する場合、最小ロットは概ね20,000個前後からというのが一般的です。

この数をどう活用するかというのが1つのハードルになりますが、たとえば企業の周年記念品や展示会のノベルティ、お祭りイベントでの景品など、配布先を設計すれば有効活用は可能です。

特に地方企業の場合、地元のお祭りやフェスでの“地元キャラ”のカプセル展開は、地域活性化にも繋がる面白い取り組みになり得ると感じました。

おわりに

何気ない会話の中から立ち上がったトイカプセルの企画でしたが、調べていく中でその広告的な可能性や市場としての奥深さに気づかされました。

「かわいい」「面白い」「誰かに見せたくなる」。
そんなシンプルな感情を呼び起こすトイカプセルは、今や立派なブランドプロモーションの手段のひとつ。

私たちも今後、こうした“やわらかくて強い企画”をクライアントと一緒に仕掛けていけたらと考えています。

株式会社HET
長谷川 嵩


TVer広告は“マス広告”?“デジタル広告”?──現場に関わっているからこそ考えるメディアの今

TVer広告は“マス広告”?“デジタル広告”?──広告費の考え方から見るメディアの革新性

2025年3月15日

きっかけは、とある配信ドラマから

最近、弊社でクリエイティブを担当させていただいたあるドラマがTVerで配信されており、その本編をチェックしようと再生した際、冒頭に広告が流れてきました。

その瞬間、「この広告って、広告費としてはどう計上されるのだろう?」とふと考えたのです。マスメディア広告ではないだろうとは思いつつも、TVer広告の扱いが業界的にどう分類されているのか、改めて調べてみることにしました。


TVer広告の特性を整理する

まず、TVer広告は明確に「インターネットを通じて配信される動画広告」であり、スマートフォンやパソコン、コネクテッドTVといったさまざまなデバイスで視聴されています。

広告フォーマットはスキップ不可のインストリーム型が基本で、番組本編前や途中に挿入され、視聴者の注目度が高いとされています。

さらに、TVerはファーストパーティーデータを活用したターゲティング配信が可能で、居住地や年齢層などを踏まえて高精度な広告配信を行っている点も、従来のテレビ広告との大きな違いです。

では、広告費としてはどう位置づけられるのか?

TVer広告は技術的には「デジタル広告」に分類されますが、広告業界の大手媒体である電通報では「新しいマス広告」として紹介されています。

月間4.9億回という膨大な再生回数、そしてテレビ局が提供する安全で高品質なコンテンツ内で配信されるという構造から、従来のテレビCMに近いリーチ力とブランドセーフティを両立している点が、ハイブリッドなメディアと評価されている理由です。

これは、単純にインターネット広告として予算配分すれば済む話ではなく、「テレビのようなメディア」としての力も持っているからこそ、マーケティングの設計において慎重な判断が求められる媒体だと感じました。

テレビコンテンツの強さ、そしてTVerの革新性

広告の分類の話とは別に、TVerというプラットフォーム自体に対して、私は非常に高い評価を持っています。

いわゆる“マスメディア”が持つコンテンツ制作力、特にドラマやドキュメンタリーといった長尺の作品群は、依然として高いクオリティを誇っていると感じます。

そのような上質な番組を、ユーザーが好きな時間に、好きな場所で楽しめるという“オンデマンド視聴”の仕組みは、視聴体験として非常に優れていますし、その中で適切な広告を表示できるというのは、広告媒体として見ても非常に革新的です。

ユーザー体験を損なうことなく広告を配信できるTVerの構造は、まさに現代的な広告プラットフォームの理想形の一つだと感じました。

おわりに

TVer広告が「マス広告」なのか「デジタル広告」なのか、その問いの答えはひとつではないのかもしれません。

ただ、確かなのは、こういった“分類の境界線”を考えること自体が、メディアや広告の変化を読み解くヒントになるということです。

私たちは日々、さまざまな現場に立ち、最新の広告やメディアに触れながら、その中で得た知見をクライアントに還元していくことを大切にしています。

これからも、変化するメディア環境にしなやかに対応しながら、本質的なコミュニケーションを追求していきたいと思っています。

株式会社HET
長谷川 嵩


テレビ広告とネット広告の狭間で──私たちが今、悩んでいること

テレビ広告とネット広告の狭間で──私たちが今、悩んでいること

2025年3月9日

はじめに

最近、テレビ広告のご相談をいただく機会がありました。普段からイベントやネット広告、クリエイティブ制作を中心に活動している弊社にとって、テレビ広告の制作案件は正直なところ多くありません。ですが、こうしたテーマに触れるたびに、今の広告業界の変化や、お客様との向き合い方について深く考えさせられます。

 

広告費の流れは変わった

電通の「日本の広告費」によれば、2019年にはインターネット広告費がテレビメディアを初めて上回りました。それ以降もインターネット広告は拡大を続け、2024年には広告全体の47.6%以上を占めるまでに成長しています。一方で、テレビメディアの広告費は年々減少しています。

電通報「2024年 日本の広告費」より

それもそのはず。多くの人が「テレビを観る時間よりも、スマホを見る時間の方が長くなった」と感じているのではないでしょうか。これは感覚の話ではなく、明確な数字として表れている事実です。

私たち自身、日々の業務を通じて広告の主戦場が変化しているのを肌で感じています。特に若年層をターゲットとした広告において、テレビよりもSNSや動画配信プラットフォームを活用する方が圧倒的に効率的である場面が多くなっています。

 

地域ごとに異なるメディアの価値観

とはいえ、地域によっては今もテレビCMが非常に重要なメディアであることも事実です。特に地方都市では、テレビを主要な情報源として捉える文化が根強く残っており、実際に地域での認知度向上にテレビCMが有効であるというケースもあります。

大切なのは「誰に何を伝えるのか」という基本に立ち返り、目的とターゲットに応じたメディア選定を行うことだと私たちは考えています。テレビが適切な手段であるならば、積極的にご提案しますし、他メディアのほうが効果的な場合は、きちんと理由と根拠を添えてご説明させていただきます。

 

可視化できるデータが、未来を変える

インターネット広告がここまで台頭してきた理由の一つが、「データの可視化」にあります。どれだけの人が見たのか、どこから流入したのか、どの広告がクリックされたのか──すべてがログとして残り、改善に活かせる資産となる。

この「数字に基づく判断」ができるのが、ネット広告の大きな強みです。一方で、テレビCMはその特性上、詳細な成果測定が難しいメディアです。「やってみないとわからない」が通用する時代ではなくなってきています。

 

本音を伝えることの難しさ

もちろん、私たちはクライアントの想いや信念を否定したいわけではありません。ただ、広告における“正しい判断”は、感覚や過去の成功体験だけでは語れない時代になっているのも事実です。

だからこそ、私たちはときに嫌われてもいいから、必要な情報は正直にお伝えするようにしています。過去には「そんなことを言われるとは思わなかった」と言われて、仕事にならなかったこともあります。でもそれはそれで構わない、と今は思っています。

私たちは、言われたまま作るのではなく、「本当に効果があるのかどうか」を一緒に考えるパートナーでありたいのです。

 

おわりに

広告の世界は、社会や技術の変化に合わせて、どんどん進化しています。その中で、テレビ広告という選択肢も、もちろん必要に応じてご提案します。ただしそれは、エビデンスをもとに、お客様にとって最適な施策を一緒に考える中で選ばれるべき手段であると私たちは考えています。

私たちは、すべてを知っているわけではありません。ただ、知っている限りの情報を丁寧に開示し、一緒に考え、最善を導き出す。そんな広告会社でありたいと思っています。

株式会社HET
長谷川 嵩


小さなチームで、大きな現場を動かす──制作体制についてのお話

小さなチームで、大きな現場を動かす──制作体制についてのお話

2025年2月18日

はじめに

現在、私たちは大手広告代理店様とともに、とある大規模なイベントのクリエイティブ制作に関わらせていただいています。
弊社クライアント様は一部こちらに記載がございます。
詳細はご紹介できないのですが、キャンペーンに関するもので、都内有数の商業施設を舞台にした話題性の高い取り組みです。

弊社が担当しているのは、イベントのロゴから始まり、スタッフTシャツ、ポスターやチラシ、SNS用のバナー、ノベルティグッズまで。
いわゆる“キャンペーンビジュアル全般”を横断的に制作しています。

 

どこまでが「デザイン」?

今回のような案件では、単にデザインデータを納品するだけではありません。
Tシャツのようなグッズ制作では、ボディの選定から印刷方法まで検討が必要ですし、チラシやポスターも紙質・部数・納品場所まできめ細かく調整が必要になります。

弊社では、こうした「実際に手元に届くもの」までを視野に入れた制作体制を整えており、必要であればグッズ納品や印刷物の納品調整も一括でお引き受けしています。
これは決して珍しいことではなく、広告業界では当然のことかもしれません。

ただ、弊社のような小規模な制作会社にとっては、それが「強み」として受け止められる場面が増えていると感じています。

 

プロジェクト単位で動く、柔軟なチーム体制

「それって御社で全部やってるんですか?」と驚かれることがあります。
実際には、各ジャンルの専門スタッフがプロジェクト単位で集まり、案件が終わると解散する──そんな動き方をしています。

これは、あのトヨタ自動車が採用している生産体制にも近い考え方です。
常に大きなチームを抱えるのではなく、必要な時に、必要な人材を、適切な人数で組織する。
この柔軟さこそが、私たちのような小さな会社にできる最良の“戦い方”なのだと思います。

状況や案件ごとのトーンに応じて最適な人材をアサインすることで、デザインの方向性にぴったり合った表現が可能になります。
また、社内リソースだけに頼らない体制だからこそ、スピードも柔軟性も担保できる。
この小回りの良さと判断力は、長年ご一緒しているお客様からも高く評価いただいているポイントです。

 

安心して任せてもらえる理由

「こんなにいろんなものを、ひとつの会社で任せられるとは思わなかった」
そんなお声をいただくことがあります。

規模の大小に関わらず、プロジェクトをきちんと設計し、適切な人材と進行管理を行えば、案件のスケールはしっかりと対応可能です。
そして何より、私たちは“クライアントの理想を叶えること”を最優先に考えています。

デザインだけではなく、進行の細かいところまで丁寧に。
目の前の「1点」だけではなく、その裏にある「全体の流れ」を見据えて動くこと。

こうした制作姿勢を信頼していただけているからこそ、長く続くご縁があり、また次の新しい挑戦に繋がっているのだと思います。

 

おわりに

イベントやキャンペーンに関わる制作業務は、想像以上に多岐にわたります。
だからこそ、安心してすべて任せられる“頼れるチーム”であることが、私たちの目指すかたちです。

「ロゴだけ」「ポスターだけ」では終わらない、その先まで。
デザインから納品管理まで一貫して対応できる制作パートナーとして、これからも一つひとつの仕事を丁寧に仕上げていきます。

株式会社HET
代表取締役
長谷川嵩


実は、Google Workspaceの導入もやってます──広告だけじゃない信頼関係の話

実は、Google Workspaceの導入もやってます──広告だけじゃない信頼関係の話

2025年2月7日

はじめに

普段、私たちは広告やデザインを中心としたお仕事をいただくことが多いのですが、最近はちょっと変わったご相談も増えています。先日も、あるお客様から「Google Workspaceの導入をお願いできますか?」というご相談を受けました。

一見すると、広告やデザインとは無関係に思えるかもしれません。ですが、実はこのお話、もともと弊社でウェブサイトを制作させていただいたお客様からのご依頼でした。メールアドレスの整備やファイル管理の煩雑さをなんとかしたいという流れで、「それもお願いしていい?」ということになったのです。

 

信頼が仕事を広げてくれる

こういった“広告とはちょっと違う”仕事をいただくことは、実は私たちにとってとてもありがたいことです。なぜなら、それはクライアント様に「この会社なら安心して任せられる」と思っていただけたからこそ。

一つの仕事をきっかけに、次々と別の業務を依頼していただける。これほど信頼されている証はありません。広告やデザインだけでなく、運用や仕組みの部分まで相談されるというのは、表面的な見た目だけで終わらない「本質的な支援」が求められているということだと感じます。

 

システム周りにも丁寧に対応

Google Workspaceの導入支援では、メールのドメイン設定、アカウント管理、ファイルの共有設定、Googleフォームの整備まで幅広くサポートしました。もちろん私たちはITインフラ専門業者ではありませんが、お客様が困ったときに「誰に相談すればいいか分からない」という課題に対して、誠実に、丁寧に応えていくことが重要だと考えています。

私たちは「何でも屋」ではありません。ですが、「何でも相談できる」存在でありたいとは、いつも思っています。

広告の先にある課題にも向き合う

実際、広告を作るにも、裏側には必ずシステムや運用の仕組みが存在します。企業活動の延長線上に広告があり、そこには業務効率化や社内体制の整備といった周辺の課題が密接に関わってきます。

私たちのような小さな会社にとって、一つひとつの信頼はとても大切です。「こんなこと相談していいのかな?」と思うようなことも、ぜひ一度お声がけください。

 

おわりに

デザインも、広告も、システムも。
全ては「伝えるため」の手段であり、「伝わること」に責任を持つのが私たちの役割です。

これからも、誠実に、着実に、頼られる会社であり続けたいと思っています。

 

株式会社HET
長谷川嵩


白は200色ある――“色”にこだわる理由

白は200色ある――“色”にこだわる理由

2025年1月31日

業界標準の色見本を新調

年始の慌ただしさが少し落ち着いた頃、DICの色見本を新しく買い直しました。
事務所のテーブルいっぱいに色見本を広げて、ロゴや印刷物の色味を一つずつ選んでいく――そんな風景を眺めるのが、

私は実はとても好きです。これはもう“職人の所作”のようなもので、静かに集中するあの空気感は、何度見ても面白く、美しいとさえ感じます。

TikTokで「白は200色あんねん」というアンミカさんの言葉がバズっていましたが、まさにその通り。

白にも、グレーにも、赤にも、無数の“違い”があります。
それを目で見て、言語化して、クライアントの世界観にぴったりの“たったひとつの色”を選び取る。デザイナーの仕事とは、そういう感性と根気の積み重ねです。

紙の色も、画面の色も。

印刷物を作る際には、色見本(DICやPANTONE)をもとに実際の色味を精密に設定します。Webやスマートフォン上では見えない“物理的な色の質感”を設計し、印刷時のズレや再現性までを見越してデータを整える――
これが、私たちが普段から行っている「紙への向き合い方」です。

もちろん、そうした仕事はポスターやチラシだけではありません。例えば企業の封筒や名刺など、“直接手に取られる”アイテムにこそ、色への丁寧なこだわりが反映されていなければなりません。
そうした細部が、企業の信頼感や世界観を支えていると私たちは考えています。

 

色を見る目を、日々アップデートする

今回、DICの色見本を買い直したのは、単に古くなったからではありません。
“今”の感覚で色を選ぶ目を養うためです。時代によって人々が「美しい」と感じる色のトーンも微妙に変わっていきますし、印刷技術の進化によって再現性も変化します。私たちはそれを肌感覚で受け止めながら、常にアップデートされた感性でクリエイティブに向き合いたいと考えています。

 

(余談ですが)モニターの色も重要です

印刷物とは話が逸れますが、実は“画面上の色”の管理も同じくらい重要です。
弊社では、業界でも最高水準の色再現性を誇るEIZO製モニターなどを導入し、キャリブレーション(色調整)を定期的に行っています。

キャリブレーションとは、「モニターが本来表示すべき正しい色」を保つための調整作業のことです。
これは、ある意味「モニターの健康診断」のようなもので、放っておくとどんどん色味が狂っていってしまいます。
制作の現場では、たった1トーンの違いが「きれい」か「違和感」に変わってしまう世界ですから、ここも当然手は抜けません。

 

色に、手を抜かない会社です。

私たちは「細かい設定こそが、クリエイティブの価値を高める」と考えています。
デジタルでも、印刷物でも、SNSでも、媒体が違えば求められる“色の設計”は変わります。その中で最適な選択肢を探し、伝えたいメッセージを一番美しく届けられるように――
そんな思いで、毎日、デザインに向き合っています。

 

もし、色に悩んだら。
そして、なんとなくしっくりこないデザインに困っていたら。
ぜひ、私たちにご相談ください。

株式会社HET
長谷川嵩


新宿、大型交通広告を終えて。

広告で学んだ、伝えることの本質

2025年1月9日

先日、新宿で開催されたとあるシークレットイベントの現場見学に行ってきました。
新宿駅といえば、日本最大級の利用者数を誇るターミナル駅。その広告媒体はまさに「情報の交差点」と呼ぶにふさわしく、企業が自社のメッセージを発信するための絶好の場です。
今回は、その交通広告のクリエイティブ制作に関わらせていただいたご縁で現場を訪れる機会をいただきました。

大手広告代理店との連携による業務

弊社では、大手広告代理店様や直接のクライアント様から様々な業務を受けています。
今回の案件は、まさに短期間で高いクオリティを求められる「下請け業務」の一つでした。
新宿駅周辺の大型交通広告として展開されたのは、あるドラマ作品のプロモーションイベント。私たちはそのビジュアルデザインを担当しました。

交通広告というと、「ただのポスター」「ただの映像」と思われがちですが、実際には膨大な手間と予算が投入されています。
例えば、新宿駅構内の大型広告ビジョンに30秒の映像を流す場合、1週間で数百万円の費用がかかることも珍しくありません。
企業がこのような広告を展開する背景には、それほどの価値があると判断される場であるということがあるのです。

クライアントの想いに応えるために

今回のプロジェクトでは、クライアント様の強い期待に応えるべく、私たちも全力を尽くしました。
特に印象的だったのは、ドラマのプロモーションに込められたクライアント様の真摯な取り組みです。
「この作品を一人でも多くの人に届けたい」という思いが伝わり、その熱意に触発される形で私たちもプロジェクトに取り組みました。

短期間でのデザイン制作は、急な修正や追加依頼が発生することも少なくありません。それでも、絶対に遅延させることなく、クライアント様の期待を超える成果をお届けすることが私たちの使命です。今回もその責任を全うできたことを誇りに思います。

 

見学で感じた広告の影響力

現場に足を運ぶことで改めて感じたのは、広告の持つ影響力です。新宿駅という場所を訪れる人々は、日々忙しく行き交っています。
その一瞬の視線をつかみ、心に何かを残すためには、デザインの力が欠かせません。
今回の広告も、多くの人の目に留まり、話題となることでドラマの成功を支えたことを実感しました。

 

広告手法の変化と新しい取り組み

現代の広告手法は、ますます多様化し、進化を遂げています。一例として、交通広告のような大型メディアが持つ「一次情報」としての役割が挙げられます。新宿駅のような場所で展開される広告は、目にした多くの人々に記憶されるだけでなく、その情報が他のメディアやプラットフォームで再利用される可能性を秘めています。

例えば、大型交通広告で発信された情報が、テレビや新聞、インターネット記事として取り上げられ、さらにSNS上で拡散されていくという流れです。
このように、広告は一度で終わるものではなく、”二次利用”や”三次利用”によって最大限に活用されるべきものです。
広告業界では、これを「コンテンツリレーション」や「メディアエコシステム」と呼び、特にSNS時代においてその重要性が高まっています。

交通広告で生まれた話題がInstagramやX(旧Twitter)でファンによって共有され、
さらにその先の消費者行動に繋がることもあります。こうした流れを設計し、
いかに効果的に情報を波及させるかは、クリエイティブ制作における新たな挑戦でもあります。

弊社では、交通広告に限らず、ウェブ媒体やSNSなどの手法を駆使してクライアントのメッセージを効果的に伝える支援を行っています。
また、コンテンツをどのように連鎖的に展開し、影響を拡大させるかといった視点からも、戦略的なアプローチを提供しています。
それぞれの媒体には特有の課題がありますが、それを乗り越えるための知識と経験を日々蓄積しています。

 

こうした多角的なアプローチは、単なる「デザイン制作会社」を超えた価値を提供するための私たちの強みです。
クライアント様に寄り添い、深く理解することで生まれるクリエイティブ。
それこそが私たちの誇りであり、これからも追求し続けるべき道だと考えています。

 

今回の案件を通じて得た学びを大切にしながら、私たちはさらに進化していきます。
広告を通じて誰かに何かを伝えるという仕事の本質を胸に、引き続きクライアントの期待に応えるクリエイティブを届けていきたいと思います。

株式会社HET
長谷川嵩