開演前のホールは、静かなのに、どこか騒がしい。
客席が埋まっていく足音。プログラムをめくる音。遠くで鳴る咳払い。
そこに、楽器のチューニングが混ざって、空気が少しずつ“整っていく”感じがありました。

ディズニーオンクラシックは、生音だけで完結するコンサートとは少し違います。
マイクで拾って、会場全体にバランスよく届ける設計が入っている。
それでも私は、あの場がしっかりライブだと感じました。

目の前で弓が動く所作。
譜面をめくる紙の気配。
演奏の合間に聞こえる小さな足音。
そして、曲が終わった瞬間に立ち上がる拍手の波。

音質の話ではなく、その場にいる全員が一緒に作り上げる空間
これが、いまの時代の贅沢なのだと思います。

自分の原点は いまもライブ感に根を張っている

私はもともと音楽業界で、コンサートツアー制作や、企業イベントへのアーティストブッキング、地方のコンサートホールでの公演を中心とした各種イベントのブッキングに関わっていました。
いわゆるイベント制作とキャスティングの領域です。

当時は、スケジュール、移動、現場の段取り、関係者の温度感。
すべてが“当日”に向かって収束していく仕事でした。
だからこそ、場の空気が変わる瞬間や、ライブでしか生まれない納得に、何度も立ち会ってきたと思います。

いまは広告の仕事をしています。
SNSも、ブログも、動画も、AIも、好きです。むしろ面白い。
ただ、自分の根っこにある興味関心は昔から一貫していて、【ライブ感】に強く引っ張られているのだと、今回あらためて自覚しました。

デジタルが主流になったからこそ、そこが際立って見えたのかもしれません。

AI時代に オフラインの価値が強く見える理由

AIや配信サービスのおかげで、情報も音楽も、いつでも手に入ります。
YouTubeでオーケストラ映像を見て、Spotifyで音を浴びるように聴ける。
便利さは、もう十分すぎるほど整いました。

だからこそ、逆に“足りないもの”がはっきりしてきます。
それは情報量ではなく、身体ごと受け取る体験です。

対面の場が持つ価値については、研究でも整理が進んでいます。
たとえばノースウェスタン大学の研究紹介では、オンラインにも利点はある一方、対面の場はコミュニティ形成や協働の生まれ方が異なる、という趣旨が述べられています(Northwestern University 2025年)。

もう一つ面白いのが、デジタルネイティブ世代の感覚です。
イベント領域の調査として、イベント運営企業Freemanが世論調査会社The Harris Pollとまとめたレポートでは、Z世代の若手プロフェッショナルが対面イベントでのつながりを重視する傾向が示されています(Freeman 2025年)。

技術が進むほど、オフラインが“非効率な贅沢”になるのではなく、関係を進めるための合理として再評価される。

そんな揺り戻しが起きているように感じます。

オンラインとオフラインは 対立ではなく役割分担

ここまで書くと、こう思われるかもしれません。
オンライン発信の重要性を語ってきたのに、オフライン推しに戻るのは矛盾ではないか。

私は、矛盾だとは思っていません。
むしろ、AI時代は“分担”がより重要になると感じています。

オンラインの強みは、広げる力です。
見つけてもらう。理解してもらう。比較してもらう。検討を続けてもらう。
ここはデジタルが圧倒的に得意です。

一方で、オフラインの強みは、深める力です。
温度感が伝わる。本音が出る。迷いが言語化される。信頼が一気に進む。
ここは、どれだけ技術が進んでも置き換えにくい。

ディズニーオンクラシックで感じたのは、まさにこの“深まり方”でした。
音だけではなく、所作や空気や拍手まで含めて、ひとつの体験として完結する
だから記憶に残るし、また行きたくなる。

広告や販促も同じで、オンラインで大量に発信して終わりではなく、必要な場面ではオフラインで深める。
この設計ができるほど、成果は安定しやすくなります。

実務に落とすなら まずは順番を変えてみる

地方企業の現場では、情報発信や販促が“手段先行”になりやすい場面があります。
オールドメディアが強い。SNSは若者のもの。Webはよく分からない。
そうした感覚が残ること自体は、自然なことだと思います。

ただ、今の環境では、媒体の好き嫌いより先に【届き方の設計】を置いたほうが失敗が減ります。
具体的には、順番をこう変えてみるのが効きます。

まずはオンラインで、判断材料を整える。
選び方、比較軸、費用感、注意点。迷いが生まれるポイントを先に出しておく。

次にオフラインで、納得を深める。
説明会、展示会、商談、見学。対面の場を“説明の場”ではなく“相談の場”にする。

この順番にすると、対面で話す内容が変わります。
相手の頭の中が整理された状態で会えるので、表面的な説明ではなく、本音の課題や意思決定の条件まで踏み込みやすい。
結果として、短期の反応だけでなく、信頼が積み上がる導線になります。

HETの立ち位置

私たちHETは、オンラインかオフラインか、どちらか一方を正解にする立場ではありません。
大切にしているのは、相手の状況と意思決定の流れに合わせて、手段を組み合わせることです。

情報が必要な段階では、オンラインで丁寧に整える。
関係を深めるべき段階では、オフラインの場をきちんと設計する。
そして、その間をつなぐ導線をつくる。

内製やAI活用を進めたい企業様には、その方針を前提にします。
外注に戻すのではなく、社内で回せる領域は社内で回しつつ、足りないところを一緒に埋める。
こうした“分担の設計”こそ、今の時代に合う伴走だと考えています。

まとめ

ディズニーオンクラシックで感じた贅沢は、音の良し悪しではありませんでした。
目の前の所作、足音、拍手、空気。すべてが重なって、体験として完成する。
この“ライブ感”は、デジタルが進んだ今だからこそ、より鮮明に価値が見える気がします。

そしてそれは、広告や販促の考え方にもつながります。
オンラインで広げ、オフラインで深める。
手段を信仰するのではなく、目的に合わせて設計する。
いまは、その判断軸が成果を分ける過渡期なのだと思います。

情報発信や販促の組み合わせで迷ったときは、いまのやり方を否定する必要はありません。
どこをオンラインで整え、どこをオフラインで深めるか。まずは現状の棚卸しから一緒に整理できますので、状況に合わせてご相談ください。

 

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