どうして今「肖像権」がテーマなのか
最近、地元企業様から
「会社案内の動画をつくりたい」
「採用向けに工場紹介の映像を撮りたい」
といったご相談をいただくことが増えています。
その多くで共通しているのが、
社員の皆さんが実名・実写で登場するタイプの動画である、ということです。
会社案内、採用サイト、SNS、展示会用ムービー。
一度撮影した映像が、さまざまな場面で長く使われる時代になりました。
だからこそ
「きれいに撮れました、はい終わり」
では済まないテーマがひとつあります。
それが、今回の主役である
肖像権(顔や姿を写されることに関する権利)です。
よくあるのは「あとから困る」パターン
実際の現場では、こんなことが起きています。
・その場の流れで「せっかくだから一緒に映りましょう」と列に入った
・上司に声をかけられて、断りづらく参加してしまった
・「社内向け資料だと思っていたら、いつの間にかSNSにも出ていた」
撮影当日はバタバタしていて、
本人も「まあいいか」と思ってしまうことが多いのですが、
数か月〜数年たってから、じわじわ不安になる方もいます。
「転職活動を始めたので、顔が出る動画は消してほしい」
「家族から『インターネットに顔を出すのはちょっと…』と言われた」
このタイミングで初めて相談が来ると、
企業側としても対応が難しくなります。
・動画がすでにあちこちに配布されている
・編集し直すにも費用も手間もかかる
・最悪、動画ごと非公開にせざるを得ない
誰も悪気はないのに、
社員も会社も、どこかモヤモヤしたまま終わってしまう。
そんな事例を、正直なところ何度も見てきました。
撮影前に「ここだけは決めておきたい」ポイント
こうしたトラブルを防ぐために、
HETとして企業様に必ずお伝えしていることがあります。
それは、撮影前に次のようなことを整理しておくことです。
・撮影した映像や写真を
どこで、どのくらいの期間使うのか
(会社案内、採用サイト、SNS、社内報、展示会など)
・社内限定なのか、社外に広く公開するのか
・顔がはっきり分かるカットと、
後ろ姿や手元だけのカットをどう使い分けるのか
・「映りたくない」という意思表示の窓口を、どこに置くのか
そして、これらを
きちんと社内向けに説明していただくことです。
撮影の数日前に、社内メールや朝礼などで
・今回の撮影の目的
・映像や写真の使われ方
・参加が難しい場合の相談先
を共有しておくだけでも、
現場の安心感は大きく変わります。
「映りたい人」と「映りたくない人」が共存できる設計を
当たり前の話ですが、
社員全員が「どんどん映りたい」わけではありません。
・カメラが苦手
・家族やプライベートの事情
・ネット上に長く残ることへの不安
理由は人それぞれで、どれも軽く扱ってはいけないものです。
一方で、前向きに出演してくれる方もいます。
「会社の魅力を伝える役に立てるなら」と、積極的に協力してくれる人たちです。
HETとしては、
どちらか一方を優先するのではなく、両方に配慮したいと考えています。
現場では例えば、こんな工夫をしています。
・映りたくない方には、カメラに映らない位置で通常業務をしていただく
・手元や作業風景だけのカットを別で撮っておき、顔が映らない素材も確保しておく
・集合カットも、表情がくっきり分かるものと、ぼかし気味の構図の両方を撮影しておく
こうしたひと工夫で、
「前に出たい人は前に出られる」
「そうでない人も無理をしなくて済む」
そんな現場づくりに近づけることができます。
1本の動画を「短命なコンテンツ」で終わらせないために
中小企業にとって、プロカメラマンを入れて撮影をすることは、
決して小さな投資ではありません。
だからこそ、私自身はいつも
「この動画は、どれくらいの期間、どんな場面で使われるのか」
「社員の方々が、数年後も納得していられる内容か」
という視点を、撮影前の段階から意識しています。
映像のクオリティだけでなく、
・社内の理解があること
・出演している人が、あとから後悔しないこと
・退職や異動があっても、会社と本人の双方が困らないこと
こうした条件がそろって初めて、
動画は「企業の資産」として息の長いものになっていくと思うのです。
HETとしてお手伝いできること
HETでは、動画や写真を「撮る」だけではなく、
・撮影前の社内説明に盛り込むべき内容の整理
・現場での簡単なオリエンテーション
・映りたくない方への配慮を含めた撮影計画づくり
といった、準備段階からご一緒することができます。
難しい法律の話を振りかざすのではなく、
現場で働く一人ひとりの気持ちと、
企業としてのリスク管理の両方を大切にするスタンスで
サポートしたいと考えています。

もし、
・社員が登場する動画をつくりたいが、何から考えればよいか不安
・これまであまり意識せずにつくってきたので、今後はきちんと整えたい
・社内の人も、会社も、気持ちよく「顔を出せる」環境をつくりたい
と感じていらっしゃるようでしたら、
ぜひ一度、気軽にご相談ください。
映像や写真は、企業と人をつなぐとても強いツールです。
だからこそ、関わる人の安心と納得を大切にしながら、
長く愛されるコンテンツづくりをお手伝いできればと思っています。
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株式会社HET
長谷川 嵩
(※ブログ内の画像はイメージです)



