企業映像は“作って終わり”じゃない──従業員リスクと情報管理から考える制作の在り方
2025年3月25日
期初総会のアタックムービーを制作しました
先日、ある上場企業様の期初総会に向けたオープニング映像、いわゆる“アタックムービー”を制作させていただきました。
全社を挙げて新しい期のスタートを迎える大切なイベントに、弊社をパートナーとしてお選びいただけたことに心より感謝しています。
本件においては、制作に入る前からクライアントと秘密保持契約(NDA)および業務委託契約をしっかりと締結し、情報の取り扱い・業務の範囲・成果物の管理体制を明確化したうえで進行いたしました。
特に今回は、社内の多くの従業員様のお写真を活用する構成だったため、情報セキュリティと肖像権の取り扱いには通常以上の慎重さが求められました。
映像に従業員の写真を使うというリスク
従業員の顔が映るということは、その人の“個人情報”が記録・配信・二次利用されるということに他なりません。
例えば、制作後まもなく当該従業員が退職した場合、会社案内映像や採用向け動画に継続して登場させることが難しくなる場合もあります。
実際に「退職者が映っている映像を修正したい」「差し替えたいが素材がない」という相談を、これまでに多くいただいてきました。
制作物の更新が単なる“デザイン変更”では済まされず、会社の信用や採用活動にも影響するリスクとなり得るのです。
契約と説明でリスクは回避できる
弊社では、従業員の映像使用に関するリスクを最小限に抑えるため、社内向けの“肖像利用同意書”フォーマットを提供しています。
さらに、広報部門や人事部の方と連携しながら、社内向け説明文や承諾取得の手順なども整備するお手伝いをしています。
「こういう説明をすれば納得してもらいやすい」といった、実務に基づくアドバイスも行いながら、スムーズな社内対応をサポートします。
社内説明会の実施で社内理解を促進
必要であれば、弊社ディレクターが従業員説明会に同席し、「なぜ出演が必要なのか」「どのように使われるのか」「どんな権利処理がされているか」といった説明を直接行うことも可能です。
社員の方に“安心して映像に登場してもらう”ことは、単なる形式ではなく、クオリティに直結する重要なステップです。
映像は“人の思い”が映るもの。だからこそ、出演する側の納得感を大切にしたいと私たちは考えています。
映像制作は、コンテンツ制作と法務・社内調整の複合業務
私たちは単に映像を「作る」だけの会社ではありません。
情報管理、社内調整、法的手続き、運用までを視野に入れた“包括的な制作支援”を強みとしています。
従業員の肖像利用、データの管理、承諾取得、将来的な差し替え可能性までを見据えて、映像というコンテンツの“持続性”を設計します。
おわりに
制作物のクオリティはもちろん重要ですが、それと同じくらい大切なのが“安心して使い続けられること”。
「誰が出ているのか」「どう扱われているのか」に配慮した上で完成する映像は、企業にとって本当に“使える”コンテンツになると私たちは信じています。
こうした丁寧な取り組みが、結果的にお客様の信頼につながり、長期的なお付き合いへと発展していくことを、日々の現場で実感しています。
映像制作に伴うリスクや課題にお悩みの方がいらっしゃれば、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
“作って終わり”ではない、本質的なクリエイティブをお届けいたします。
株式会社HET
長谷川 嵩