諏訪圏工業メッセで感じる、地域展示会の可能性
2025年6月1日
今月下旬、私が拠点を構える諏訪地域で開催される「諏訪圏工業メッセ2025」が、今年も岡谷市民総合体育館とテクノプラザおかやを会場に開催されます。
来場者数はおよそ20,000人、出展企業は300社以上。
地域の製造業を中心に、多様な業種が集まるこの展示会は、いわば“地元企業の晴れ舞台”とも言える大切な場です。
私も毎年欠かさず足を運んでいて、普段お世話になっている企業様や、地元クライアントのブースを巡り、現場の熱量を感じたり、企業の取り組みに触れたりと、貴重なインプットの場としています。
地元ならではの展示会に、足りないもの
東京で働いていたころ、私はビッグサイトや幕張メッセといった全国規模の展示会場で、担当ブースでも数千万円、主催業では数億円単位のイベントの企画・運営に関わっていました。
その経験と比較してしまうと、どうしても「規模」や「予算」の差は感じてしまいます。
来場者の数も、スペースの自由度も限られていて、「できること」の幅も狭く感じることもあるでしょう。
でも、私は「地方の展示会が劣っている」とは思っていません。
むしろ、限られた中でどう爪痕を残すか、どう“伝えるか”を本気で考える企業にとっては、こうした地域展示会こそ腕の見せどころだと思っています。
ただ実際には、「お付き合いだから出展してる」「顔を出すことが目的」そんな空気がブースのあちこちから漂ってくることもあります。
パンフレットをただ置いているだけ。
説明も聞き取りづらくて、結局よくわからなかった。
そんな状態でブースを後にする来場者は、果たして“次”のアクションを起こしてくれるのでしょうか?
私は毎年、もったいないなあ……と感じています。
展示会は、目的を持って設計するもの
限られた予算、限られた人手、限られた空間。
だからこそ、展示会というのは「目的」を明確にして、その目的に応じた設計をしていく必要があります。
たとえば、ブースでの訴求を諦めて、その代わり後日開催する自社イベント(プライベートショー)への誘導に特化する戦略もあります。
アンケート獲得に集中するなら、名刺と引き換えに配るノベルティや、スタッフの声がけの仕方を徹底的に設計する。
どんな「結果」を求めるのか、そのためには「何を」伝えるべきか。
その情報を、どう表現し、どう届けるべきか。
それこそが私たちが担っている“展示会におけるコミュニケーション設計”の役割です。
経験を重ねたからこそ見えるもの
私が東京で会社員をしていた頃は、展示会やイベントの現場において、コンパニオンや運営スタッフを大勢手配し、アンケート回収の導線を緻密に組んだり、大型模型を使って説明困難な構造をわかりやすく可視化したりと、あらゆる方法を駆使してきました。
もちろんそれは、予算や体制のある企業での話です。
でも、たとえ規模が違っても、「来場者に何を残すか」「どんな印象で帰ってもらうか」という本質は同じはずです。
今の私は、そうした経験をもとに、地方の展示会に参加する企業様が“見込み顧客と出会い、つながり、育てる”ために必要な視点や工夫を提案しています。
足を運ぶのは、学びと応援のため
毎年、諏訪圏工業メッセに行くのは、単に挨拶のためだけではありません。
自分の地元で、どんな企業が、どんな想いで出展しているのかを知り、感じ、そこに自分がどんな支援ができるのかを考えるためです。
展示ブースのデザイン、空間設計、配布物の制作、アンケート導線、SNSとの連携、事後の顧客フォロー体制──
東京時代に培ったあらゆるノウハウを活かして、地元企業の挑戦を支えられる存在でありたいと願っています。
「展示会、こんなことやってみたいんだよね」
そう言ってくれる企業様が一社でも増えたら。
そして私が、そんな一歩に並走できる存在でいられたら。
そんな思いを込めて、今年も私は、工業メッセの会場を歩き回っているはずです。
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株式会社HET
長谷川 嵩