日本向けのビジネスを行う経営者と会話をしていると、ときどき耳にする言葉があります。
「結局、うちは日本の会社に安く買い叩かれている気がする」

この感覚は、単なる愚痴ではありません。
価格交渉の構造、系列や慣習、比較のされ方、コスト転嫁の難しさ。製造業の現場では、そうした要素が積み重なって、じわじわ不信感になっていくのだと思います。

では、海外ならいくらで売れるのか。
正直、それは挑戦してみなければ分かりません

ただし、挑戦には勢いだけでは足りない。
仕組みづくりと予算の組み立て、そして結果の回収。ここまでをセットで設計しないと、海外展開は永遠に机上の空論で終わります。

今日は、海外に売りたいのに動けない会社が、最初に整えるべきことを整理します。
ここからは少しだけ厳しめに書きますが、現場で何度も見てきた詰まりどころなので、あえて言語化します。

最初に潰すべきは、点の施策で満足する空気

海外展開の相談で、よく出てくる発想があります。

英語字幕付きの会社紹介動画を作れば、海外に届くのでは。
英語対応のWebサイトを作れば、海外から問い合わせが来るのでは。

結論から言うと、どちらもそれだけでは何も起きません

動画は、入口にならない限り再生されない
Webサイトは、入口にならない限り見られない

入口がないのに受け皿だけ作っても、何も始まりません。
これが、海外に売りたいのに動けない会社の、典型的な詰まりどころです。

そしてここで起きやすいのが、点の発注を繰り返して満足してしまう状態です。
動画を作った。サイトを作った。パンフレットを作った。
でも、一本の流れになっていない。だから結果が残らない。

海外展開は、制作ではなく商流で考える

海外に売るとは、要は商流を作ることです。
いきなりデザインや動画の話から入るのではなく、まずは流れを一本につなげます。

どう見つけられるか
何が強みとして伝わるか
何で判断材料を出すか
どう問い合わせさせるか
誰がどう商談するか
契約と条件をどう固めるか
支払いをどう処理するか
取引をどう育てるか

この一本が見えて初めて、動画もWebもSNSも、意味を持つ道具になります。
逆に言えば、一本がない状態で制作だけ進めると、見た目は整うのに売れないが起きます。

受け皿を作る前に、入口を決める

ここが肝です。
英語サイトを作る前に、まず決めるべきは入口です。

海外の顧客に見つけてもらう入口は、大きく分けると次の選択肢になります。

業界媒体や専門誌への露出
海外展示会への出展
LinkedInなどビジネスSNSの運用
既存の商社や代理店経由
越境ECやマーケットプレイス

入口が決まると、必要な受け皿が決まります。

展示会に出るなら、名刺交換後に見せる英語資料、実績、加工領域の説明、商談導線が必要です。
SNSで集めるなら、投稿の設計、導線、反応が来たときの一次返信体制が必要です。

つまり、Webを作るかどうかではなく、Webをどの入口のために使うかが先。
この順番が逆になると、予算だけ消えて、結果が残りにくい。

バラバラ発注が、停滞を生んでいる

海外展開が止まっている会社ほど、過去の施策が点で散っていることが多いです。

今までのWeb会社がいる。
今までの映像会社がいる。
今までの印刷会社がいる。

もちろん、個々の会社が悪いわけではありません。
ただ、バラバラに発注してきた結果として、一本の商流になっていないから今がある。

海外のために何かを作るのではなく、海外のための流れを作り、その流れに必要なものを作る
この順番に戻すだけで、停滞の原因がかなり解けるケースがあります。

私たちがやるのは、つなぐ設計と回る仕組み

私たちは海外の広告枠を直接持っているわけではありません。
海外営業代行でもありません。

ただ、海外展開の入口から出口までがつながるように、必要な打ち手を整理し、順番を決め、制作と運用の起点を作ることはできます。
そしてもう一つ大事なのは、設計して終わりではなく、回し切るところまで一緒に見るという姿勢です。

海外展開では、契約、決済、法務、輸出入の実務など、どうしても専門家領域が出てきます。
ここは私たちが代替するのではなく、適切な専門家を一緒に探し、つなぎ、連携しながら前に進めます

つまり、専門家に引き継いだら終わりではありません。
“刈り取りまで含めて回る形”になるように、伴走を続ける。ここを大事にしています。

例えば、こういう領域です。

どの国、どの業界、どの顧客を狙うかの仮説整理
海外に伝わる強みの翻訳。直訳ではなく価値の置き換え
英語ページと資料の設計。デザインと実装
問い合わせ導線の整備。資料ダウンロード、フォーム、一次返信の型
展示会を起点にした設計。ブース、クリエイティブ、動線、運用
社内の対応体制づくり。誰がどう返信し、商談に繋ぐか

加えて、必要に応じて、次のような連携も行います。

海外の営業代行や現地パートナーと連携し、ツールの活用方法や運用フローを一緒に整える
商談の温度感に合わせて、資料や提案の表現をアップデートする
問い合わせが増えたときに、返信や管理が破綻しないように型を整える
専門家や外部業者との分担を決め、情報が行き来する導線を作る

重要なのは、専門家がいるかどうかよりも、出口までを見据えた導線が“回る形”になっているかです。
私たちはそのために、制作と運用だけでなく、外部パートナーとの連携も含めて、現実的に前へ進む形を一緒に作ります。

やるなら覚悟が要る。社内の温度感が低いままでは進まない

昔、海外案件で現地に行き、実際の現場施工まで含めて動いていた時期がありました。
海外で何かを仕掛ける現場には、驚くほど多くの関係者と専門家が集結します。

設計、施工、輸送、通関、現地手配、通訳、運営、撤収。
一つの現場を動かすために、想像以上のコストと手間がかかります。

ただ、それでも皆が動くのは、成功したときの利益やリターンが大きいからです。
そして、そのリターンを取りに行くには、全員で挑戦する空気覚悟が必要になります。

ここはあえて強めに言います。
海外は、片手間では進みません。
社内の温度感が低いまま、誰かが空いた時間でやる状態だと、ほぼ確実に途中で止まります

だから私は、海外展開を考えている会社には、最初に現実を突きつけてくれる役を置いたほうがいいと思っています。
怖がらせるためではなく、必要なパワー配分を理解し、社内の腹を決めるためです。

何がどれだけ大変か。
どこにお金がかかるか。
どこで失敗しやすいか。
何を先に整えないと詰まるか。

このあたりを現実的に言語化してくれる存在がいるだけで、計画の精度と実行力が変わります。
私たちは、その役回りも含めて、最初の設計段階から伴走できます。
脅すだけで終わらせず、現実的な順番に落として、動く形に変えるところまでが仕事です。

最初の一歩は、海外向けの一本道を作ること

海外展開は大きく見えますが、最初から全部を完成させる必要はありません。
まずは一本道を作ります。

海外向けに伝わる会社紹介の核を作る
英語で最低限成立するページと資料を用意する
問い合わせが来たときの対応フローを決める
入口を一つに絞って露出する。展示会でも業界媒体でもSNSでも良い

この一本道ができると、挑戦が現実になります。
そして初めて、海外でいくらで売れるのか、という検証が可能になります。

海外でいくらで買ってもらえるかは、挑戦してみなければ分からない

海外でいくらで買ってもらえるか。
それは、挑戦してみなければ分かりません。

ただし、挑戦を結果につなげるには、仕組みが必要です。
点の施策を積み上げるのではなく、入口から出口までを一本につなげる

私たちはその設計と制作で、海外展開の最初の一歩を作ります。
もし海外に向けて動きたいのに、何から始めればいいか分からないなら、まずは商流の地図を一緒に作るところから始めましょう。

 

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