撮影現場に入る前に考えていること

先日、とあるクライアント様の「会社案内映像」の撮影に入ってきました。

動画カメラマンとスチールカメラマン、二人のプロに現場へ入ってもらい、私はディレクションと全体の進行を担当しました。

今回の表向きの目的は、会社案内用の映像をつくること。

ですが、私の頭の中には最初から、こんな用途が並んでいます。

  • 会社案内パンフレットに使う写真

  • コーポレートサイトや採用サイトのメインビジュアル

  • 展示会ブースで流すループ動画

  • SNS用のショート動画(リール・ショート)

  • 社内向け説明資料に使うカット

つまり、

「会社案内映像だけ」の撮影ではなく、「これから数年使い倒せる素材を一気に収穫する一日」

だと捉えている、ということです。

撮影は「作品づくり」ではなく「素材づくり」

中小企業にとって、プロのカメラマンを呼んで丸一日撮影するのは、決して小さくない投資です。

  • カメラマンの人件費

  • ディレクション費

  • 撮影のために現場ラインを一時的に止めるコスト

  • 社員の皆さんの時間的な負担

こうしたものを合計すると、

「一度の撮影」は会社にとって、かなり大きな決断になります。

だからこそ、私はいつも

「一本の映像をつくる作業」ではなく「将来のための素材を収穫するプロジェクト」

だと考えています。

会社案内映像にしか使えないカットだけを撮るのではなく、

  • 編集を少し変えれば採用動画に使える

  • テロップを差し替えれば展示会用に流せる

  • 縦長にトリミングすればInstagramに載せられる

そんな「使い回しやすい素材」を意識して、

カットやアングルを組み立てていくのが、私のスタンスです。

事前打ち合わせで必ず整理しておくこと

撮影の成功は、当日の現場よりも「事前準備」にかかっていると思っています。

実際の打ち合わせでは、次のようなことをかなり細かく確認します。

  • この撮影で、必ず押さえたい用途は何か

    (会社案内映像/採用向け動画/展示会/ウェブなど)

  • 今後、使う可能性のあるシーンや媒体は何か

    (数年後にサイトリニューアル予定がある など)

  • 現場のラインを止められる時間はどれくらいか

    (止められない工程はどこか)

  • 登場してほしい人物、避けてほしい人物

    (顔出しNGの方や、どうしても映したいキーマンなど)

  • 「今すぐは使わないけれど、撮っておくと助かりそうなもの」

こうした情報を整理したうえで、

  • 必ず撮るもの

  • できれば撮りたいもの

  • 時間が余ったらトライするもの

という三段階くらいに分けておきます。

これをやっておくことで、当日、

「時間がなくて、肝心なところが撮れなかった」

という事態を減らすことができます。

カットのバリエーションを、あえて増やす

同じシーンでも、次のようなバリエーションで撮影していきます。

  • 全体が分かる「引き」のカット

  • 技術や設備が伝わる「やや寄り」のカット

  • 職人さんの手元や表情のアップ

  • 人物なしで、機械や製品だけを押さえたカット

  • 横長での撮影に加え、縦長構図も意識したカット

一見、回り道のようですが、

後から別用途の動画をつくるとき、この差が効いてきます。

会社案内映像では社員さんの表情を中心に使い、

採用向けショート動画では、あえて手元のアップと音だけで構成する。

同じ撮影日で撮った素材でも、

切り取り方と組み合わせ次第で「まったく別の表情」をつくることができるのです。

そのためにも、最初から

「編集で遊べる余白」を残して撮っておく

というイメージで臨んでいます。

現場の方への配慮も、ディレクションの一部

撮影現場にカメラマンが入ると、どうしても社員さんのテンションが上がったり、

逆に緊張して固くなったりします。

そこで私は、撮影前にできるだけ時間をいただいて、

現場の皆さんにこんなお話をしています。

  • 今日の撮影の目的と、撮った映像・写真がどこで使われるか

  • 顔出しがどうしても苦手な方は、事前に教えていただければ映さないということ

  • 無理に「演技」をする必要はなく、いつもの仕事をしている姿が一番良いということ

  • 安全面で注意してほしいポイント

撮影は「非日常」ですが、映像にしたいのは「日常の良さ」です。

だからこそ、現場の方の不安をできるだけ減らし、

普段に近い状態で仕事をしていただけるようにするのも、

ディレクションの大事な役割だと考えています。

一度の撮影で、何年分もの「財産」をつくる

今回の製造業の撮影でも、会社案内映像用の素材だけでなく、

  • パンフレットのビジュアル

  • 採用サイトの社員紹介ページ

  • 展示会で流す短い説明動画

  • SNSでの「現場の様子」の発信

など、さまざまな使い方ができるカットを意識的に撮影しました。

中小企業にとって、撮影にかけるご予算は決して軽くありません。

だからこそ、

「会社案内映像が1本できて終わり」ではなく、

「これから数年間、あらゆる場面で使える素材が一気にそろった」

という状態を目指して、企画と撮影を組み立てています。

もし、

  • 会社案内映像を撮りたい

  • どうせ撮るなら、他にも活用できるようにしたい

  • 現場の社員にもできるだけ負担の少ない形で進めたい

といったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

撮影そのものだけでなく、

「その先の使い方」まで含めて、一緒に設計させていただきます。

 

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