最近、広告の世界で静かに、でも確実に大きな潮目が来ています。
インターネット広告の制作や運用を、企業が自分たちの手元に戻し始めている。いわゆる内製化の流れです。背景には、AIの進化と広告運用の自動化が、現実的になったことがあります。
内製化は、広告会社が不要になるという話ではありません。
ただ、広告会社が提供すべき価値の重心が、確実に変わってきたのは間違いありません。
今日は、その変化を、私たちの現場で実際に起きた出来事も交えながら整理します。
実際にあった話。SNS運用を外注から内製へ
弊社のクライアントでも、SNS運用を何から何まで弊社に任せてくださっていた企業がありました。
ところがある時期から、「これからは内製化していきたい」という相談を受けました。
理由は一つではないと思います。
会社として内製化を推進する方針が出たのかもしれない。
担当者の方の興味や知識が増えて、自分たちでやれる感覚が育ってきたのかもしれない。
あるいは、外部に任せることへの違和感が生まれたのかもしれません。
ただ、結論として、私はこの判断を前向きに捉えています。
SNSは、スピードと温度感がものを言う領域です。社内のスタッフが自分たちの言葉で、タイミング良く出せるのが一番強い。
そこは無理に、外注のほうがいいですと引き止めてまで仕事にしたいとは思いません。
ただし、ここからが本題です。
内製化は素晴らしい。ただ、リスクとコストもセットで付いてくる
内製化には、よく語られるメリットがあります。
速い。社内判断で即日出せる。
社内にノウハウとデータが溜まる。
これは本当です。
ただ、現場でよく起きるのは、見えにくいコストと品質のブレです。
よくある落とし穴は、だいたいこのあたりです。
- 投稿の品質が落ちる
- デザインや文章の統一感がなくなる
- 伝え方がズレて、意図しない伝わり方をする
- 担当者の通常業務が圧迫される
- 炎上やクレーム対応の責任が社内にのしかかる
- 続かない
そして、ここは特に強調しておきたいのですが、社内の人間は無料ではありません。
むしろ、人件費はかなり高い。
外注の見積もりを見ると、高いと感じることがあります。
でもそれは、外注費が高いのではなく、社内コストが見えなくなっているだけ、というケースも多いです。
例えば、SNS担当を専任で置く。
その人を育てる。
撮影、文章、デザイン、投稿、分析、改善を回す。
しかも通常業務と並行することが多い。
これを回す人件費と機会損失は、きちんと計算すると外注より高くつくことも珍しくありません。
さらに言えば、育った頃に異動や退職でいなくなる。これは本当に多い話です。
内製化は、人に依存する構造を強める側面がある。ここを軽く見ないほうがいいと思っています。
内製化は目的ではなく手段。使い分けが一番現実的
私は内製化そのものを否定したいわけではありません。
むしろ、経営者や担当者が、自分たちでやると腹を決めるのは、とても良いことだと思っています。
ただ、内製化が向く領域と、外部を使ったほうがいい領域は分けたほうがいい。
そして多くの場合、答えは全部内製でも全部外注でもなく、ハイブリッドになります。
内製が向くのは、こういう領域です。
- 現場の温度感が重要な発信
- 採用や文化、日常の動き
- 即時性が必要な投稿
外部が向くのは、こういう領域です。
- ブランドの根幹設計
- トーンやルールの統一
- 撮影やデザインの品質担保
- 広告配信や計測、改善の設計
- 炎上やリスクを踏まえたチェック
広告会社が提供すべき価値は、代行ではなく内製化の土台
内製化が進むほど、広告会社側の価値は変わっていきます。
これから増えるのは、運用代行してください、ではなく、
- 内製化できるように整えてほしい
- 広報部門を立ち上げたい
- 業務を明文化して属人化を減らしたい
- マニュアルとルールを作りたい
- 担当が変わっても品質が落ちない仕組みが欲しい
こういう相談です。実際、弊社にもこの手の相談は増えています。
だから私たちとしては、内製化の流れを脅威と捉えるより、企業側がマーケティングや広報を自分ごと化し始めたサインとして捉えています。
そして、その流れに対して私たちができるのは、回る仕組みを作ることです。
- 業務設計
- 体制づくり
- ルール化、マニュアル化
- 制作物の型化
- ブランド表現の統一
- 必要な外部パートナーの整理と連携
こうした土台があると、内製は急に強くなります。
逆に土台がないと、内製は急に苦しくなる。ここが分岐点だと思います。

HETとしてのスタンス
内製化したいと言われたら、止めません。
むしろ、どうすれば内製化がうまくいくかを一緒に考えたい。
ただ、内製化は、やる前よりも設計が必要になります。
- 誰が何をやるか
- どこまでを社内で持つか
- 品質をどう担保するか
- どの頻度で改善するか
- 担当が変わった時にどう引き継ぐか
この設計がないまま、とりあえず社内でやろうは、だいたい失敗します。
頑張りで回してしまって、気づけば疲弊して、止まる。これは本当によく見ます。

内製化を勢いではなく、仕組みで成功させる
内製化は、企業にとって前向きな動きです。
一方で、見えないコストとリスクもセットで付いてくる。
だからこそ、内製化を成功させるには、制作や運用の前に仕組みを作る必要があります。
もし今、
- 内製化に踏み切りたいが、どこから整えればいいか分からない
- 担当者が回らなくなりそうで不安
- 品質がブレるのが怖い
- 外注と内製の境界を決められない
こういう状態なら、まずは業務の棚卸しと体制設計からご一緒できます。
内製化を、勢いではなく仕組みで成功させる。その支援は、私たちが得意としているところです。

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株式会社HET
長谷川 嵩
(※ブログ内の一部画像はイメージです)



