“メニュー表を作ってください”から始まった、サービス全体のデザインプロジェクト
2025年5月2日
ご依頼は「飲み比べメニューを作ってください」から始まった
現在、弊社がクリエイティブを担当させていただいているとある飲食店様から、「日本酒の飲み比べメニュー表を作ってほしい」というご依頼をいただきました。
ご依頼自体はとてもシンプルで、飲み比べ用のメニュー表を制作してほしいというもの。ですが、弊社ではそれを「ただのメニュー制作」としては捉えませんでした。
なぜなら、飲み比べという体験そのものを成立させるには、メニュー表だけではなく、提供の仕組み、スタッフのオペレーション、そしてお客様の行動導線に至るまで含めてデザインされている必要があると考えているからです。
メニューは“情報”ではなく“体験の導線”である
地域柄、訪れるお客様には外国人観光客の方も多く、日本酒に対する知識や文化的な背景も多様です。
そこで、ただ酒の名前を並べるのではなく、「日本酒とは何か」を伝える簡潔な情報を英語で付記し、それぞれの味の特徴をビジュアルとともに伝える設計にしました。
同時に、店舗スタッフの皆様にとっても「外国人のお客様から毎回同じ質問を受ける」負担を軽減できるよう、必要な情報を事前にメニュー内に盛り込み、注文がスムーズに完了するよう導線を設計しました。
サービス全体を「デザイン」するということ
オーダーの仕組みについても、ただ選んでもらうのではなく、「オーダーシート形式」にすることで、ミスを限りなくゼロに近づける工夫を施しました。
選んでもらった日本酒にはそれぞれテーマカラーやナンバーを付け、提供時にもスタッフが迷わずお酒を出せるように配慮。
また、そのお酒を提供するトレイのサイズから、並べ方、注ぎ口の向きに至るまで、「提供時の美しさ」や「視認性」「間違いのなさ」を徹底して設計。これもすべて、弊社が担う“デザイン”の範疇だと考えています。
SNS時代に欠かせない「魅せる」デザイン
来店されたお客様に「思わず写真を撮って投稿したくなる」ような工夫も随所に盛り込みました。
提供用のプレートは、光の反射まで意識したカラーリングとレイアウトに。メニューも手に取って映えるデザインで、ブランド価値を高めるきっかけに。
情報・体験・ビジュアル、そのすべてがひとつに繋がるデザイン体験を構築することを目指しました。
デザインはリモートで完結。でも思考は深く、距離は近く
お忙しい飲食店様にとって、密な打ち合わせは難しいこともあります。
そのため弊社ではLINEやメール、チャットツールを活用し、リモート完結を前提とした円滑なコミュニケーション体制を整えています。
必要な情報はできる限り“画像ベース”でやりとりを行い、店舗側が迷わず対応できるようサポート体制も構築しました。
私たちが選ばれる理由を考える
私たちのクリエイティブは、ただグラフィックを仕上げることが目的ではありません。
お客様のオペレーション全体を見据えた“サービス設計”としてのデザインを提供すること。これが、弊社が掲げるスタンスです。
一般的なデザイン料金と比較すると、決して“安い”とは言えないかもしれません。
しかし、スタッフの負担を減らし、お客様の体験価値を高め、ミスを防ぎ、売上やブランド価値を向上させる仕組みまでを考え抜いたデザインには、必ず“結果”が宿ると信じています。
今回の飲み比べ企画も、クライアント様にご満足いただけたことが何よりの成果です。今後この企画がどう育っていくかを見守りつつ、引き続きクライアントのビジネスに伴走していければと考えています。
株式会社HET
長谷川 嵩